マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

2015年9月25日 19:00

【9月】勉強会開催

2015年09月25日 19:00

【9月】勉強会を開催しました。

 

阪東勇輝さん(Department of Biological Sciences, Columbia University)
「マウス大脳皮質発生初期における自発性神経活動の役割」

大脳皮質は哺乳類で発達した器官であり、感覚情報の処理、学習・記憶や意思決定など、複雑で高度な情報処理を行っている。
大脳皮質には多様な細胞が存在し、これらが正しい位置に配置され、配線されることが大脳皮質の機能に重要である。
大脳皮質神経回路は、主に遺伝的に形成されると考えられてきたが、神経活動による柔軟な調節機構があることが明らかになりつつある。
本セミナーでは、そのメカニズムの一端を紹介する。
 
脳が形づくられるプログラムについて、「遺伝」に基づく研究が多い中、阪東さんは「神経細胞」に着目した点が非常に斬新。
その研究内容はもちろんのこと、研究の切り口についても、専門領域内外からの質問が寄せられ、とても活発な議論が交わされました。
 

木村蘭平さん(Center for Cosmology and Particle Physics, New York University)
「宇宙の加速膨張とダークエネルギー」

現在の宇宙の歴史を辿ることで、宇宙は常に膨張し続けていることが長年の研究により知られている。
面白いことに、比較的最近になり宇宙は加速膨張をし始めたことが近年の観測技術の向上により明らかとなった。
この事実はこれまでの物理学では説明がつかず、新たに「ダークエネルギー」なる未知の存在を示唆するものである。
このダークエネルギーは未解決の問題であり、候補の一つとして考えられているのは新しい重力理論によるものである。
本発表では、なぜダークエネルギーが必要なのか、その正体は新たな重力理論で解決できるのか?という問題を紹介する。

宇宙の構成要素の約75%を占めるという、「負の圧力を持つエネルギー」ダークエネルギー。
アインシュタインの一般相対性理論の修正を提案する、壮大なスケールの宇宙論に、「時空って何?」という素朴なものから「ダークエネルギーの観測法は?」という専門的なものまで、多様な質問が飛び交うアクティブな講演となりました。

 

興味深いご講演、ありがとうございました!