マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

【7月】勉強会開催

2015年07月24日 19:00

【7月】勉強会を開催しました。

園下将大氏(Mount Sinai)
「ハエが教えてくれる抗ガン剤の作り方」

がんによる高い死亡率は大きな社会問題となっており、早急な治療・予防法の確立は喫緊の課題です。
近年の解析技術の進歩により、がんの原因となる遺伝子機能の異常が次々に明らかとなってきました。
しかし、その情報を元にして抗がん剤をはじめとする有効な治療法の樹立に成功した例は、残念ながらまだ多くありません。
原因の一つに、より効果の高い抗がん剤を生み出すには大変多くの労力や資金、時間が必要なことが挙げられ、より高効率な創薬基盤の確立が望まれています。
本発表では、我々が現在取り組んでいるショウジョウバエを用いた抗がん剤開発の取り組みについて紹介します。
短い生活環や低飼育コストをはじめとする長所を活かしつつ、100年を越す蓄積のある遺伝学を駆使して、革新的な創薬を目指しています。
 

三代憲司氏(Columbia Univ.,Chemistry)
「ケミカルプローブの開発~ケミカルで探知する、釣り上げる~」

生体内には無数の小分子、高分子が存在し、それらの産生、分解、局在化、会合といった現象が複雑に絡み合うことで生体活動が行われています。
それらの分子の探知、現象の理解のために用いられる、化学物質でできたプローブがケミカルプローブです。
本発表ではケミカルプローブの具体例と課題、私案等についてお話します。

◇◇◇

“ショウジョウバエを使った動物実験をもとに、いかにしてヒトに効く抗ガン剤を作り出すのか?”
園下さんには、医療現場で使われるお薬が出来るまでの緻密な実験について、ショウジョウバエをお供に、わかりやすくお話ししていただきました。

Chemical Probe(化学物質の探針)について、最新情報をお話しくださった三代さん。
生体内の現象や物質を化学的に探知する、という薬学寄りの有機化学のお話に、近い分野の研究に携わる参加者からの質問が飛び交い、専門性の高い白熱した内容となりました。

ご講演ありがとうございました!