マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

【9月】勉強会開催

2020年09月11日 20:00

Covid-19の影響により長らく活動を休んでいましたが、こういうときこそ結束を強める必要があると思い、zoomにて当面は新しい形で活動を再開することといたしました。記念すべき第一回目のオンライン勉強会では、九州大学科学部門助教の宮田潔志さんにご講演頂きました。宮田さんは2018年までコロンビア大学に留学されており、またJASSの前代表でした。現在は九大の助教をされており、分光学を専門にしています。Scienceなどの数々の一流誌に研究が掲載され、最近では文部科学大臣表彰・若手科学賞も受賞されています。宮田さん、ご講演ありがとうございました。

【分子に秘められた十億分の一秒のドラマを超高速レーザーで読み解く】

私が専門としている学問、「分光学」は“見る”という行為を極める学問と称されます。今回の講演では、“分子からの手紙” とも比喩される「スペクトル」を、極限まで高めた分光技術で観察することで初めて見えてくる境地にお連れします。観察対象は “分子” です。特に、我々の生活を激変させ得る、光機能性を持った分子をターゲットとした研究を紹介します。例えば、有機ELという言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。そう、iPhone XRなどに搭載されている、最新のデバイスです。有機ELの動作を支えているのも、光機能性分子です。分光学の中でも時間分解能に特化した超高速分光を駆使すると、十億分の一秒(1ナノ秒)の間に起きている変化を検出することができます。この「時間分解能」を極めた視点で光機能性分子の変化を“見る”と、超高速時間スケールでの活き活きとした分子の動きを知ることができます。自然をよく観察するという、自然科学研究の原点に返るようなお話ができればと考えています。究極の“見る”力を駆使して見えてくる、分子に秘められた十億分の一秒のドラマの魅力を存分に楽しんでください。