マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

【11月】勉強会開催

2020年11月20日 20:00

11月20日、森 宗昌さん(Assistant Professor of Medicine, Columbia Center for Human Development, Columbia University Irving Medical Center)に「人体でつくるのが最難関の臓器、肺をいかにして作るか。」という演題でご講演いただきました。肺の再生という壮大な研究テーマのきっかけを作られた患者さんとそのご家族との出会いから現在に至るまでのストーリーを、ユーモアたっぷりに、しかしそれぞれが示唆に富む形でお話し頂きました。患者さんと交わされた約束を果たす最初の偉大な一歩となる御研究成果のご紹介においては、想像を超える苦労と緻密なアイデアの詰まった内容に興味を惹きつけられました。いよいよ森さんご自身のラボを持たれ、新たなお仲間と共に人への治療応用に向けて益々のご発展を成し遂げられることと思います。とても勇気を頂く素晴らしいトークをありがとうございました。ご活躍を祈念しております。

●NY 11/20(金)20:00- JP 11/21(土)10:00- @Zoom
森 宗昌 さん
[Assistant Professor of Medicine, Columbia Center for Human Development, Columbia University Irving Medical Center]
【人体でつくるのが最難関の臓器、肺をいかにして作るか。】
世界中で、何百万人もの人が難治性の肺疾患に苦しんでいます。もし肺をつくれれば、このような患者さんの希望の光となり得ます。しかし果たして、肺はどのようにして、つくればよいのでしょうか。
肺は臓器の中でも作るのが不可能な臓器として長らく知られており、その糸口すらみつかりませんでした。
というのも、肺は40種類以上の多彩な細胞の種類からなり、480億個以上もの肺胞を、枝分かれした気管支の上に配置する必要があるからです。さらに、そこに血管が入り交じり、胸の動きに合わせて絶えず膨らみ縮みながら、ガス交換をしなければなりません。それができなくなることは、すなわち、死を意味します。
難治性肺疾患患者さんを治癒するために、私は不可能を可能にさせる決意をし、海外留学をしました。苦悶激闘、多くの人々の支えの下、ついに機能的な肺をつくることに成功しました。今日はそこに辿り着くまでの珍道中も含め、お話させて頂きます。