マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

【10月】勉強会開催

2020年10月16日 20:00

10/16 大岸誠人さん(The David Rockefeller Graduate Program/St. Giles Laboratory of Human Genetics of Infectious Diseases, The Rockefeller University)に「COVID-19若年重症例にみるヒト免疫異常」という演題で講演いただきました。ご存知の様にCOVID-19以降、私達の生活は大きく変わってしまいました。大岸さんには現在の最新のCOVID-19の研究成果をお話いただきました。関心の高い話題でたくさんの方にご参加いただき、活発な質疑応答で議論を深めることができました。

【COVID-19若年重症例にみるヒト免疫異常】

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、コロナウイルスの一種であるSARS-CoV-2の感染により引き起こされる全身性炎症性疾患です。重度の肺炎のためしばしば酸素の取り込みが困難となり、人工呼吸器を含む集中治療が必要となります。また、脳梗塞をはじめとする血栓性疾患の合併も多く、血管炎のような病態が背後にある可能性も指摘されています。さらに、小児においては川崎病に類似する多臓器性の炎症が目立つことから、成人における病態との差異についても研究が進められています。これらの臨床的観察は、SARS-CoV-2がヒトに対して高い毒性を発揮しうることを示唆しています。しかしながら、この感染症の最もややこしいところは、SARS-CoV-2に感染したヒトの約8-9割は実はほぼ無症状であって、上で概説したようなCOVID-19は発症しない点にあります。では、SARS-CoV-2に感染しても無症状であるヒトとCOVID-19を発症するヒトとの違いは何か?今回の勉強会では、感染したヒト側の免疫異常という観点から、この疑問についての一つの解釈を考えてみたいと思います。