マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

【3月】勉強会開催

2021年03月26日 20:00

3月26日MSKCCの尾崎加奈子さんに中心体に関して講演して頂きました。中心体はヒト細胞のみならず様々なモデル生物の細胞にも存在する普遍的な構造体ですが、構造など細部はかなり異なっているのは進化的に大変興味深いと思いました。その構造異常ががんをはじめ様々な疾患にもかかわるということで、現在も活発に研究されている分野です。尾崎さん、わかりやすいご講演をありがとうございました。

●NY 3/26(金)20:00- JP 3/27(土)09:00-
@Zoom
尾崎 加奈子 さん
【中心体の生物学 ー研究の歴史と細胞生物学者達の夢ー】
中心体は今から100年以上前に発見された動物細胞に特異的な細胞小器官の一つです。中心体は500nm程度の非常に小さな細胞小器官ですが、実は500種類以上のタンパク質によって、組み木細工のように精巧に、秩序を保って形成されることが明らかになってきました。細胞生物学の歴史の中では、顕微鏡観察を主体とした構造生物学から、モデル生物を用いた機能生物学への研究の変遷が見られますが、中心体研究も正にそれと同じ道筋を辿っています。さらに、蛍光タンパク質の利用や超解像顕微鏡の開発によって、細胞生物学者達の「細胞を生きたまま観察する」「細胞内の構造を細かく見る」と言う願望が現実のものとなり、中心体研究も飛躍的に進みました。最近では中心体が持つ機能が、個体発生や器官形成に重要や役割を果たしていること、その機能欠損により、ヒトでは細胞のがん化やある種の病気の原因になることが分かっています。
今回の発表では、古くて新しい中心体研究の歴史をなぞりながら、小さくとも大きな存在である中心体の形成機構や、その機能について紹介したいと思います。