マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

【2月】勉強会開催

2021年02月05日 20:00

2月5日(金曜)New York Medical Collegeの宮崎 憲一 さんにシナプスの講演をしていただきました。
非情に丁寧に神経活動の働きとその仕組みについてくわしく解説してくださったのが印象的でした。興味深い画像と映像で専門外に人にもわかりやすく、魅力的な講演をしていただけました。また、ラボの様子についても解説してくださり、神経科学分野以外の研究者、これから研究を始める人にとっても大変貴重な講演でした。

【神経科学:シナプス入力を測る(単一シナプスからのナトリウムイオン測光)】
シナプスは記憶や学習を担う神経細胞の重要な場所であると考えられています。しかしこれまでの多くの電気生理学的手法によるシナプスの研究は単一シナプスの測定ではなく、複数のシナプス応答を総合的に計測するものでした。2000年代に入ってからはカルシウム測光という技術が発達し、今現在行われている単一シナプスの研究のほとんどはこのカルシウム測光によるものです。しかしカルシウムイオンはシナプス後電位の発生にはほとんど関与していないため、シナプス入力の大きさを調べるのには適していません。私たちの研究室ではシナプス後電位の発生に直接かかわるナトリウムイオンを計測する方法を開発し、さらにカルシウムイオンも同時に測定することで、シナプス入力時のそれぞれのイオンの流入経路を同定することに成功しました。この手法を使うことにより、将来神経への入力の変化(シナプス可塑性)や入力強度の比較を単一のシナプスからでき、記憶や学習を解明するのに重要な役割を担うようになると考えています。